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愛情の有効範囲

広瀬大介さんのお仕事は、ドイツ語とドイツ文学についてであれ、オペラについてであれ、ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスについてであれ、対象への愛情を率直に表明する形になっているところが、美点でもあり、ときとして弱点に転じるのかなあ、と、傍…

80年代回顧

その1、軽やかに投げやりだったお気楽ニッポンhttps://www.youtube.com/watch?v=AlNmX5Y27vY&app=desktopその2、意外に骨格ががっちりしているジョン・ウィリアムズhttps://www.youtube.com/watch?v=9Rp4rLXbrDw

ドラクエの怪

佐村河内/新垣が騒ぎになったときに、吉松隆が「シリアスな芸術鑑賞とは別に、オーケストラ・サウンドの快楽に浸りたい欲望が広く薄く存在するのだ」と言って擁護していたが、芸術鑑賞ではないオーケストラ・コンサートの可能性に関心がある人は、ドラクエ…

計画立案

いつまでも気が若い中堅大学教員さんたちの言論は同じ所をグルグル回ってだんだん退屈になってきたし、ポケモンGOは♂♀ペアでだいたい揃ってやることがなくなってきたし、今年は演奏会に多めに行ければと思う。ここ数年で、日本のプロのオーケストラの定期演…

里帰り公演

先月、中村恵理が東京オペラシティの「B→C」に出て、東京と西宮で演奏会をやっていたが、彼女は今回の帰国でスザンナを歌ったらしいですね(新国立劇場)。「B→C」のプログラムには先の出演予定は書かれていなかったので、私は何も知らないままに、 ルトスワ…

提携公演

由緒ある大阪国際フェスティバルの公演だと思ってそれなりの恰好をして行ったらホールには平服の学生さんらしき人たちがたくさんいて、会場で流れるアナウンスには「大阪国際フェスティバル提携公演」と「提携」の語が入って、しかも影アナさんは、私の聞き…

楽曲解説をどう書くか

東条さんのように、「お客様へのわかりやすさ」を錦の御旗に掲げる人たちが、惰性と前例踏襲にこだわるあまりに、むしろ堅苦しい「教養」を手つかずに温存してしまい、反対に、「わかりやすさ」とは違う価値に着目する努力のほうが、教養の堅苦しさを別の姿…

新機能

おやっ! ピカチュウとの出会いを促すのだから、これは善きものなのでしょう(=至上主義者)。(歩ける範囲=「ちかく」は歩いて探せ。もっといないの?と思った人は、これを利用してちょっと先まで行ってみよう、という流れを想定しているようですね。珍し…

「外国文学者はキモい、全員クビだ!」

敢えてエントリーを分けたが、千葉雅也が言う「勉強はキモい」というのは、ひとつ前に書いた翻訳の諸問題=文学者は言葉を深く勉強するものだから、かえって出来上がった翻訳が奇っ怪なものになる、というのも、それですよね。そのときに、音楽評論家東条は…

古語・雅語を字幕でどう翻訳するか

そういう風に具体的に言ってくれたら、意見の対立、「問題」の所在がはっきりして、まっとうな対話になる。東条さん(←今回はさん付け)、最初からそうしてくれたらいいのに。*伊東信宏先生は阪大の大学院生時代に岡田暁生と頻繁に会って勉強会を続けていて…

僧侶は僧侶、学者は学者、千葉雅也は千葉雅也

真言密教と禅宗と浄土教は教義も寺・教団の在り方も少しずつ違うけれど、僧侶は僧侶だと思われている。モダンとポストモダンは違うといっても、その程度のことではないか。学者は学者だ。そして「勉強」という概念は、「僧侶の修行」みたいなものだから、特…

「哲学者」は「すべての市民」に含まれるのか、含まれないのか?

しかし思うのですが、関西に来て結構名の通った学校の先生になったんやったら、一回くらいは観世会館や大槻能楽堂に行ってみるとか、京都コンサートホールやフェスティバルホールに足を運んでみるとか、するもんとちゃうんですかねえ。もう着任から随分時が…

大阪フィル@おとな会

~オトナ度ちょい増しTV~おとな会 | MBS昨夜の録画をみたら、とてもいい番組だった。大阪フィルのどこに着目するか、というだけでなくスタジオのタレントさんたちのリアクションが興味深い。大阪の情報バラエティ番組は、橋下維新を育てた張本人と決めつけ…

「余は如何にしてポモとなりし乎」

Kindle版をスクリーンリーダーで聞き終わったときに、そういう言葉が思い浮かんだのでメモしておく。内村鑑三の著作(1895年刊行というから阪神大震災と地下鉄サリンの95年の百年前か)は読んだことがないので、読まずにパロディではあるが。勉強の哲学 来た…

学芸員はどのように勉強するか

為政者に反抗することが正義である、という立場を採用すると学芸員を人文家がこぞって擁護することになるのだろうが、学芸員には、キモさを発症することなく勉強した人たちが少なくない気がする。そして、「学芸員はガンだ」という話法は、むしろ、「文科省…

ビジネスの哲学 来たるべきビジネス・バカのために

もしかすると、共同体から身を引きはがしてビジネスを勉強すると、2つ前のエントリーで書いたようにキモいカタカナ言葉と機械の自動返信のような受け答えをするようになったりするのだろうか。だとしたら、一刻も早くそこを突き抜けた「来たるべきビジネス・…

キモいバカの話 知と言語と共同体

疑問1: 周囲の共同体とは異なる知性の在り方を模索するのが「勉強」なのだとしたら、なるほどそれはキモさを発症しそうだが、周囲の共同体に備わっている知性を習得することを「勉強」と呼ばない理由はどこにあるのだろう。疑問2: 知性が常に特定の言語と結…

日本を「法人化」したい人々

文章を売り買いするときには、個人が法人と対峙する必要が生じる。(大学や公的機関も、個人と組織の関係は「法人」と同じようなものでしょう。)直接やりとりする担当者が「法人を代表した個人」としてふるまわないと、そういうやりとりは円滑に進まないわ…

都市では「住民=市民」が「国民」であるとはかぎらない

ギリシャのポリスあたりを参照しながらナショナリズムをリベラルの側から批判的に吟味するときには、そういう視点からやるのが常道だったような気がするのだが、だとすると、19世紀のヨーロッパの音楽文化でいえば、ワーグナーでナショナリズムを考えるとい…

他の都市のオーケストラの大阪来演

広島交響楽団の音楽監督が秋山和慶から下野竜也にかわって、お披露目の大阪公演があった。金曜の夜のシンフォニーホールでブルックナーの8番。色々な意味で大阪のオーケストラの最近の路線の逆を突く形になっていて、新鮮でした。*まず、大阪のオーケストラ…

工業製品としての「音楽の散文」の現在

あらゆる音の断片がハリウッド映画音楽の様式でDTMされるところまで来ているのですね。フィレンツェのカメラータのモノディがナポリでリブレットとコンティニュオ(和声づけ)の手工業的な分業で量産されるようになって、グルックが鍵盤楽器の代わりにオーケ…

変数と観察

「空の範疇」とは、要は数学の解析で言う変数 variable の設定のことではないか。中性子の予想は、まさにそういうことですよね。データの解析において設定された変数(あるいは代数方程式で言う未知数)を裏書きする現象があとから発見された、と。(電子や…

21世紀の詩と散文

SNSにあまりにも特化して言葉をつむいでいると、140文字の散文詩、限定された文字数と言葉の特定の流通形態においてのみ意味や効果をもつ言葉の連なりを生成する技術が発達して、無意味もしくは非意味に逢着して消耗することが知られている。140文字の散文詩…

「マイノリティはメジャーにあやかる」と断定する者:芸術学の位置を詩学のアリストテレスに遡って自嘲することから何が発見できるか?

音楽は「理論的にマイナー」な芸術なので、哲学者や思想家がちょろっと(当人にとっては非本質的な仕方で)音楽に言及した箇所を、音楽家や音楽研究者が喜んで拾い出し、過剰な解釈や意味付与を行う、という傾向がありますね。文学や美術の研究者はあまりや…

名前を売りたい人々

十数年前の大河ドラマ「新撰組!」に岩倉具視が伊東甲子太郎の名前を覚えようとせずに侮辱する場面があったが、今思えば、あれは京のお公家さんの陰険さの表現というより、三谷幸喜がどこかで経験したのかもしれない現代の芸能界の風景だったのでしょう。*…

日本における Nationalities と Nationalism

「有事」という言葉が、特定の思想信条の人たちのジャーゴンではなくなって、実際に「箏が有る」状態になってしまうと、この島に住む者にとって、Nationality の定義はどうしても一部変更を迫られるわけですよね。「団」や「連」を組んでいる方々にとって、…

翻訳字幕は職人的経験値がものを言う

前にびわ湖ホールと新国立劇場が相次いでコルンゴルトの死の都を上演したときに、字幕の善し悪しではびわ湖ホールの圧勝だな、と思ったことがあるので、東京の音楽祭の字幕がいまいちではないか、という疑念が出ることは十分ありうるし、予測可能な問題が顕…

HIPな演奏、ちぐはぐな運営

今年は桜が満開の週末が雨になってしまいましたね。こういう結果になると、センチュリー響のハイドンが一番誠実な取り組みだった、と判定せざるを得ないかもしれない。巨大な空間に大観衆を集めるプロムスで古楽系団体が拍手喝采を浴びる(YouTubeでそういう…

「○年やったら諦めろ」の件

当初想定していた長期戦のための兵糧が尽きて、続けるための支えがないのに意地で続けるくらいなら、作戦を考え直した方がいい、ということじゃないのかな。5年でも10年でも30年でも、トライし続ける体力・生活基盤があるんだったら続けたらいいし、なければ…

能勢妙見山

数日前「ちかくにかくれているゴマゾウ」を探していたら、向かって右手の茨木の竜王山から中央左寄りの能勢・箕面のあたりまで、大阪の北の稜線を一望できる崖に出た。iPhoneのパノラマなので方角がわかりにくいが、右の山の向こうは京都の亀岡で、左のなだ…

大阪を掘る者、埋める者:2017年の武智鉄二と大澤壽人

豊中市の国有地を掘ることが現在の地価に影響するとはどういうことか、というあたりが焦点になっているようだが、思えば、現在の大阪城(の石垣)は、豊臣の大坂城を徳川が埋めてその上に築いたことが知られている。(ブラタモリでは意外な事実のように言わ…

先輩後輩関係とは何か?

学校とか会社とか、単一の組織の内部でその組織に所属した時期がいつなのか、ということに意味をもたせる場合があるのはもちろん承知しておりますが、複数の機能集団が織りなす社会関係は、そんな個々の組織の内輪の都合をリセットしたところで形成されるし…

子音に気をつけろ

オペラやリートのピアノは「歌手の母音に合わせて弾け」と教えられるそうだ。オーケストラも同じだろう。Goie, goie! とか Sempre libera... とソプラノが歌うときに(まさかどのオペラのどの場面かわからない、なんてことはないですよね?)、弦楽合奏が「G…

誰よりも君を愛す

誰が誰を愛していようと、それは個人の自由だ。しかしねえ……、いい歳をした大学教師が、「私は最愛の娘が幸福な将来を得るためであれば、英語中心主義の奴隷となることもいとわない」とか、「私は人生の師と見定めたこの人が言うことであれば、どのような理…

雨の効用

我が物顔の自転車が湧かないので、駅前が見違えるように落ち着いて歩きやすい。

開花

式辞の舞台裏

東大卒業式の式辞が深いと話題に「善意のコピペや無自覚なリツイートは......」(全文)東大卒業式の式辞が「深い」ことになっているらしいのだけれど、ここで語られている「第三の間違い」を石井洋二郎はどうやって突き止めたのだろう? じつは、大河内総長…

同好会はなぜ対外的に成果披露するのか?

学校のクラブ活動って、たいがいそうですよね。なぜなんでしょうね。自発的な無償の行為である、というのが同好会の同好会たる所以ではあるけれど、そのような無償の行為は、何者かの好意や善意の賜物であり、その感謝の念を表明したり、恩返しをする感覚で…

詩人マショー

凍雲篩雪 - 猫を償うに猫をもってせよこの知識をどう活かせばいいのか、すぐにはわからないけれど、とりあえずメモのつもりでリンクを残す。(ジョスカン・デ・プレは「ジョスカンは」とファーストネームで呼ばれるけれど、ギョーム・ド・マショーは、日本語…

まるで交響曲のように聞こえる巨大な声楽作品

マーラーの千人の交響曲(いま気づいたが、関西で今も続く初夏のイベント「30000人の吹奏楽」はもともと「1000人の吹奏楽」だったのだから、イベント名はたぶんこの作品のもじりですね)の第1部は、ソナタ形式のように構成されてはいるけれど実体はラテン語…

音楽における近代の「日本留学」と東アジアの近代化論

「1900-1950年の東アジアとオーストラリアにおける芸術家曲」という学術シンポジウムと連動したレクチャーコンサート「“芸術家曲”の誕生と音楽の近代」という催しを聴いて3つの感想を抱く。1. オーストラリアの位置づけがよくわからない。現在の北米の世界戦…

獣の宅配

吹田ジャンクションの近くで戦闘力の低いわたくし好みの個体を発見した。どうやら昨日来、「ちゅうかん」(大阪府道2号大阪中央環状線)や「がいしゅう」(同1号万博外周道路)、「しんみどう」(新御堂筋国道423号)とか「いないち」(同171号)とか、ある…

アイロニーとユーモア、「あえて」と「ごっこ遊び」

アイロニカルな人はユーモアをアイロニーだと受け止めてしまう、という症状が、アイロニーとユーモアの差異の話を難しくしているように思う。そして、「あえて」というアイロニカルな構えを崩すことのできない人は、ごっこ遊びをフィクションだと受け止めて…

異議申し立てを「怠惰な不作法」と同一視する「勤勉なる編集委員会」の礼節と言論封殺

この単純なサイクルの中に多数の必要業務があり、マニュアルが存在するとはいえ、そこに書ききれない膨大な経験知が蓄積されていたこと、そして煩雑に思われる諸々の手続きにはそれぞれに意味があることを改めて認識しました。 (小塩さとみ「編集後記」『音…

ベテラン楽員さんへ:オーケストラの「ハイフィンガー奏法」はもうやめましょう!

クラシック音楽はいまや「競技」である、という風に割り切ったうえで、各方面は「もっと上を目指す」方針を採用する傾向が顕著らしいので、だったら2017年度の開幕に当たって、大阪のクラシック音楽界隈の「戦力」の「現状分析」をしてみよう。負け組を切り…

合格者名簿

織田作之助、司馬遼太郎など数多くの作家を輩出した新聞であり、近畿地方の私立大学の合格者名簿を例年3月に掲載。 大阪新聞 - Wikipedia たしか東大の合格者名簿はどこかの週刊誌に出て、京大・阪大の合格者名簿を載せる夕刊紙もあったはず。あれは大阪新聞…

通年公開

京都御苑(御所は宮内庁の管轄で御苑は環境省の管轄なのですね)を丸太町側から今出川側へ北上してみた。御所の壁の内側にPがたくさん出るのはどういうことかと思ったら、昨年から、春と秋だけでなく、御所を通年公開しているんですね。御所のなかでは、観覧…

取り繕う手遅れ感

「読めばわかる」と言うけれど、あなたは、今あなたが有り難いお言葉として引用した人物が昨年、官能小説を発表したときに、その「没頭ぶり」を読めていたのでしょうか?とても醒めた発言をしていたように記憶しますが。老人の官能小説を叱る愛国青年将校た…

協賛と翼賛

信時潔「海道東征」は1940年、皇紀2600年に作曲披露されているが、これは、政府主催の皇紀2600年記念式典そのもので上演されたわけではなく、この政府行事に「協賛」して、別団体が委嘱した作品であるとされている。(皇紀2600年は、そうした「協賛行事」に…

演奏の拡散の行方

多くの人が情報発信者の「希望」に応じて律儀に「拡散」しているらしい発言で話題になっている横山幸雄は、最近「ギネスに挑戦」といった競技志向を強めているわけだが、もちろんみなさんは、スマホやパソコンの twitter の所定の操作をしただけのことなので…