2016-07-07から1日間の記事一覧

「音楽の国ドイツ」のメロディー論

ダールハウスの著作のうち、杉橋陽一が訳して最初に日本語になったのは Melodielehre という小さな書物だ。シュッツのモノディー、モーツァルトの魔笛タミーノの絵姿のアリア、ワーグナーのラインの黄金のローゲの語りの3つを分析しており、議論は面白いの…

「国語教育の失敗」 - 解釈共同体論

石原千秋の読者論は受容美学が土台なので、特定のアングルからテクストにアプローチすることを要請される読者たちの解釈共同体の話になっていくわけだが……。解釈共同体は、まるで前衛政党のように党議拘束を受けて、あるときは「作家論」、またあるときは「…

大判ビジュアル雑誌

芸術新潮は1961年1月号からB5版で写真を多用する誌面に変わる。その前から写真や商業デザインやラジオ・テレビを「芸術」と見なす紙面作りをして、木村伊兵衛の写真が毎号巻頭を飾っていたりしたので、正常進化という感じがする。(音楽芸術が1960年から大判…

疑洋風文学論

テクストを精読する際に作者の意図を詮索すると作家論になり、作者の意図以外のことを語れば作品論になる、と言ってしまうのは、表通りだけ大急ぎでハイカラにした明治の疑洋風建築みたいな文学論だなあ、と呆れてしまうし、作者概念や作品概念がそういう風…