2016-10-16から1日間の記事一覧

啓蒙と幻想

観念論哲学(教養)と関連づけながら19世紀前半のドイツ語圏の音楽を考えようとするときには、この対概念は、ナショナリズムという19世紀後半にせり上がってくる主題や、影響の不安という20世紀の文芸批評用語より、はるかに音楽に即して使い勝手がよさそう…

母をめぐって

「お前のかあちゃん、デベソ」と囃し立てられた少年の母が本当にデベソだった場合、私達はどうすればいいのか、というような話を蓮實重彦が書いたのは、私の記憶違いでなければ、彼が凡庸と愚鈍の差異を好んで書いていた時期の田中角栄についてのエッセイに…

全国漫遊批評における公務と私用の区別

芸術祭の審査員には、審査対象の公演に関して、プログラムに執筆したりプレトークに出演する等の行為はもちろん、事前に見解を個人として公表することも控えて欲しい旨が文化庁から通達される。どうやら、公演団体への補助金申請を査定する仕事に何らかの形…

クラシック音楽にも時は流れる

実際に、たとえば第1幕第2場の「手紙の場」の歌詞は、わずかの削除と補筆こそあるものの、原作の第3章・第31節の文章をほぼそのまま歌詞としたものである。 エフゲニー・オネーギン (オペラ) - Wikipedia 手紙を書いているうちに夜が明ける、というのは、プ…