2016-10-19から1日間の記事一覧

説教芸術

落ち目の大学教員の説教はうっとうしいわけだが(「落ち目」についても「うっとうしい」についても、そうならないように自戒したい)、それとは別に、語り物のなかには説教芸・説教芸術というのがあるように思う。オラトリオは、まさに oratio の説教の芸能…

大学教員のための作文教室

研究者を自任する人は、研究上の己の立場なるものを意識しすぎて、依頼された売文が融通の効かないものになったりするようだ。役割意識が強すぎる大学教員の陥りがちな失敗その1である。そしてもうひとつ、原稿の依頼主・編集者の言うことを、あたかも学術…

つながらない音楽史

今やっている管弦楽史の授業は、チャイコフスキーとドボルザークとブルックナーとマーラーはみんな違う、という、つながらない音楽史になりつつある。ショスタコーヴィチとメシアンとブリテンは、もはや別の銀河かもしれない。音大の未来のオーケストラパー…

泣けるオペラと心躍るバレエとシューベルト

シューベルト、ブラームスのよろめき alla zoppa の話の続きだが、イタリア・オペラのレトリックがロマン派までの西欧の都市音楽(ほぼクラシック音楽)の共通の在庫(common practices)だったとしたら、バレエ・リュスのインパクトは、彼らの登場をきっか…