ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

京都コンサートホール。まもなく音楽監督を退任するプロムシュテットの指揮で、メンデルスゾーン「イタリア」と、ブルックナー「交響曲第7番」。就任後間もない99年の公演は、楽団をあっという間に透明で現代的なスタイルに変えてしまった驚きの他に、個人的には、「京都新聞」の故・木村和男さんに担当していただいた最後の演奏会だったことで、強く記憶に残っています。

ブルックナーは、かつてのワーグナー指揮者のようなエネルギーの持続というのではなく、大小様々なブロックを、テンポや軽重の細かい調整を続けながら、コツコツ積み重ねて、最後に巨大な全体を立ち上げる、徹底して建築的なアプローチでした。

冒頭の歌が、大きく弓形に張り渡される姿は、全体像のひな形だったのかもしれません。どんなに小さなブロックも、それなしでは巨大な建築が力学的なバランスを失い崩れ落ちると信じているかのように、細心の注意を払って提示されるので、片時も目を離せない、息の詰まる音楽ではありました。が、その労力は報われたように思います。