next mushroom promotion vol.7 シュパーリンガーを迎えて

午後、京都ドイツ文化センター。辺見康孝(ヴァイオリン)、大井浩明(ピアノ)による「extension」(1979/80)を聞きました。「主となる思想からその変化形や副次的思想を導き出すというような考え方に対する、対抗モデル」、「全面的関連性」といった、(直訳的すぎる)パンフレットの作曲者コメントを読み、実際に1時間を超えるパフォーマンに接して、ドイツの知識人は、開放的な音の経験にたどりつくために、面倒な手続きを経なければならないのだな、と思ってしまいました。真にリスペクトされるべきなのは、悩める作曲家シュパーリンガーよりも、超絶的な特殊奏法をこなして、絢爛たる(でも、決して騒々しくない)音響世界を作ってしまうピアニスト大井さんのほうではないか……というのは、褒めすぎでしょうか。