ハーゲン弦楽四重奏団 with 宮本文昭

いずみホール。後半のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第16番」が圧倒的でした。第1楽章の、老人のつぶやきや繰り言、野放図さをリアライズするボーイング。絶妙のバランスでノイズを交えて、ほとんど拍子や調性を曖昧にしてしまった第2楽章。第3楽章の、変奏曲構造を覆い隠してしまう、ダイレクトな表現力。第4楽章の、大事件と言うしかない序奏と喜びの爆発。モダン奏法の精鋭としてデビューしたグループが、古楽/ピリオド奏法による弦楽器の多様性の発見を踏まえて、たどりついた境地という気がしました。

そういえば、前半、ドヴォルザーク「アメリカ」に続いて、オーボエの宮本文昭が何かヒラヒラ吹いたようですが(笑)、彼は、音楽家としての格の違いを超えて、この場に呼ばれてしまうほど、今も集客力があるのですか?