大阪シンフォニカー交響楽団第99回定期演奏会

ザ・シンフォニーホール。昨秋の首席指揮者就任披露定期が絶賛された寺岡清高の指揮で、ベートーヴェンの序曲「献堂式」とピアノ協奏曲第4番(独奏:仲道郁代、寺岡氏のご指名と伝え聞きました、何故?)、シューベルトの大ハ長調交響曲。どの曲も、輝きがあって、立体的で、細部までよく手入れがゆきとどいた演奏でした。

ただ、とても細かいことかもしれませんが、私は、ベートーヴェンの序曲(序奏の明朗なディアトニックは明らかにヘンデル風)で、トニカもドミナントもサブドミナントも(序奏には、ほぼこの3つの和音しか出てこない)、すべて、まったく同じに響いたことが、逃げ出したくなるくらい、薄気味悪かったです。まるで、精巧なロボットが、無表情に(しかし完璧に)オーケストラをシミュレーションしているみたいで……。

この指揮者は、「オーケストラ・サウンド」を完璧に身につけているけれど、音楽という「言語」を話すことができないのではないか? とても偏屈な意見かもしれませんが、私は、今のところ、この人の「音楽」を信用する気持ちには、なれないのです。ある種の卓抜した能力を身につけておられるし、それが、オーケストラにとって有益なのは、間違いないと思いますが。