玉井菜採ヴァイオリン・リサイタル

午後、京都府立府民ホール・アルティ。年1回計3回の「演奏家支援シリーズ」の2回目。3回でバルトークの無伴奏ソナタ(昨年)、ヴァイオリンソナタ第1番(今年)、第2番(来年)を弾くのが企画の柱で、今年は、ハンガリーのヴァイオリニスト、アラーニに焦点を当てて、第1ソナタを、バルトーク「ラプソディ第1番」、ラヴェル「ツィガーヌ」と組み合わせるプログラムでした。(アフター・トークのあと、さらに個人的にお伺いしたら、伊藤信宏「バルトーク」のアラーニをめぐる章なども、参考にされたそうです。)

ともすればポキンと折れてしまいそうな剛直さではなく、自然体で、ポイントを的確に押さえる演奏。作品を見通す視線はクリアで、「ラプソディ」は、ラヴェルが無邪気に思えてしまうほど、隅々まで意識化され、再構成されたハンガリー音楽なのが、よくわかりました。まるで、琥珀の中に封じ込められた民族音楽の化石をながめているみたい。ソナタでも、凛とした弱音が印象的でした。(ピアノ、青柳晋。)