モーツァルトのザルツブルク時代のミサ曲

仕事の合間の雑談です。

今、「戴冠式ミサ」のことを調べていて、改めてアーノンクールのモーツァルトの宗教曲集を聞き直したり、

モーツァルト:宗教音楽全集第2集(戴冠式ミサ/ヴェスペレ)

モーツァルト:宗教音楽全集第2集(戴冠式ミサ/ヴェスペレ)

  • アーティスト: アーノンクール(ニコラウス),アーノルト・シェーンベルク合唱団,ウィーン王宮礼拝堂合唱隊,ロジャーズ(ジョーン),マグヌス(エリーザベト・フォン),プロチュカ(ヨゼフ),ポルガール(ラースロー),モーツァルト,ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2002/03/27
  • メディア: CD
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没後二〇〇年に出た「モーツァルト事典」の小林緑先生の解説を読み直したりしておりました。

モーツァルト事典 全作品解説事典1

モーツァルト事典 全作品解説事典1

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昨年秋のアーノンクール&コンツェントゥス・ムジクスのモーツァルト公演は、もちろん「レクイエム」も壮絶だったわけですが、個人的には、前半のザルツブルク時代の「ヴェスペレ」が印象深かったです。

単声聖歌とモーツァルトの作曲を組み合わせての上演だったので、様式の断絶がショッキングだったということもありますが、二十代前半の音楽は、短い時間に色々なものをギュッと詰め込んて、ものすごく頭の回転が速くて、狂ったように生き急いでいる感じ。こういう風に鬼気迫るくらい優秀な若い人って、たまにいますよね。

それにしても、あの「ヴェスペレ」のせっかちさは異常だとずっと気になっていたのですが……、

改めて調べてみると、ミサ簡素化の時代風潮があって、特にザルツブルクの大司教のコロレドが厳しい人だったんですね。

「ミサの音楽は45分以内」というようなことを申し渡されていて、教会音楽の作曲では、削れるところをとことん削ることが求められていた。モーツァルトのシャープな音楽は、そういう制約の中で鍛えられたものだったんですね。

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例によって話が飛躍しますが、そういう説明を読んでいて、ハリウッドの全盛時代、映画が量産されていた時代、二本立ての前座のいわゆるB級作品は「監督の演出意図」なんて呑気に言っていられる状態ではなくて、低予算でどんどん獲って、プロデューサーが容赦なくハサミを入れるのが普通だった、という話を思い出しました。

ジェームス・ディーンの「理由なき反抗」も、当初はB級の予定で、それでニコラス・レイなんていう若手監督が器用された、ということらしいですし。

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モーツァルトの「切れた」宗教音楽は、ジェームス・ディーンが体面ばっかり気にする両親に食ってかかるシーン(斜めに傾いている!)みたいなものなのかもしれませんね。(だとすると、晩年のモーツァルトは「アメリカの友人」のファンキーなじいさんになったニコラス・レイ?)

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「理由なき反抗」と言えば、「チキン(臆病者)」がキーワードですが、ジェームス・ディーンが学校のことを「Zoo(動物園)」と言い放つのも印象に残っております。学生がワラワラと登校する場面なんか、本当に「群れ」という感じで……。

最近、コンサートホールでキレるお客さんのことが話題らしいのですが、千人もの人間がぎっしり並んで座ってる状況は、映画の中のグリフィス天文台なんて目じゃないくらい異様な「Zoo状態」ですし、そんなところで二時間一切音を立ててはならないという儀式がクラシック演奏会。

そんな儀式に参列していたら、そりゃあ、粗相をしてしまったほうも、粗相を咎めるほうも、普通の精神状態のはずがない。「関西のお客さんはもともとマナーが悪い」とか都市伝説だかなんだかわからない話まで蒸し返されたりする泥沼状態になるのも無理はない、と思ってしまいますが……、

でも、この話はあまり面白く展開しそうな気がしないので、これでおしまい。

「チキン野郎!」ということで(←別に意味はないですが)。

以上。