大阪アーティスト協会×ムラマツリサイタルホール提携企画2007「木曜リサイタル」作曲家シリーズ

ご案内が遅れてしまいましたが、新大阪のムラマツリサイタルホールで「木曜リサイタル〜作曲家シリーズ」という企画がスタートしています。

かつて学校の音楽室には、大作曲家の肖像画が飾られていたものです。そんな懐かしい情景を思い出しながら、一晩にひとりずつ、8人の作曲家と対話するシリーズ企画。5〜6月の2ヶ月にわたり木曜日に集中して「作曲家シリーズ」として8公演開催します。

「木曜リサイタル」作曲家シリーズ

ベートーヴェンからプロコフィエフまで、ピアノ・リサイタルでおなじみの作曲家が並んでいて、内容はピアノソロと、ゲストを迎えた室内楽(ピアノ連弾の場合あり)の二本立て。シューマンは幻想曲とピアノ五重奏曲、ショパンは前奏曲集とチェロ・ソナタというように、公演時間が短い分、すっきりした形で各作曲家の代表作が並んでいます。

日程は、5/10(木)から6/28(木)までの毎木曜=計8回(最初の2回は既に終了しました)。公演時間は約1時間半。毎回19:30開始で、21:00頃終了予定。仕事帰りに立ち寄りやすい時間帯という設定になっています。

私も、毎回、演奏の前後のトークコーナーに進行役として登場させていただいています。

次回24日(木)は、松村英臣さんによるベートーヴェン。松村さんは、昨年のこのホールでのリサイタル(「熱情」「ハンマークラヴィア」など)で芸術祭優秀賞を得たところですし、今回の連弾(作品6のソナタとシューベルト「幻想曲」)+ソナタ作品27も本当に楽しみです。

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実は次の木曜日24日には、いずみホールでも「リストの眼差し」というピアノのシリーズがはじまるんですね。こちらも、全部、木曜日。日程が完全にバッティングしてしまいました……。

いずみホールもムラマツリサイタルホールも、どちらも作曲家の名前がついたピアノ中心の企画ではありますが、内容は、かなり違うものになると思います。

いずみホールのほうは有名演奏家が次々出演して、リストという同じ作曲家の曲をどう弾くか、ピアニストの聞き比べが主眼。あくまでもピアニストが主役。

ムラマツリサイタルホールのほうは、作曲家が主役。演奏だけでなく出演者のお話もお伺いして、私も聴衆のひとりとして曲の感想をその場でお伝えするような形で、音楽について、作曲家について、聴きつつ語る、というようなスタイルでやっています。

「純粋に音だけを聞きたい、余計な情報は入れたくない」というストイックな方には受け入れがたいことだとは思いますが、こういう風にお話と音楽を組み合わせると、ステージと客席の心理的な距離が近くなって、会場の雰囲気が適度に柔らかくなるみたいですね。

第二回のパデレフスキは湊谷さんのお話が面白くて、ヴィルトゥオーソ風の派手な曲が続いたのですが、最後のアンコールでしっとりしたメロディーが終わると、会場から「フーッ」とため息が漏れていました。

ちょっとジャズのライブみたいな感じがしました。

もちろん、演奏中は音に集中していただきたいですし、出演者や会場のお客さんが落ち着いて楽しめる進行をしなければ、とは思っていますが、でも、音楽に没入したからこそ出てくる率直な反応というのがあると思うんですね。そういうことが自然に起こる空間をこの先も作っていけたらいいな、と思っております。

客席数約150で物理的にも舞台と客席が近い小さなホールです。

6月末まで毎週続きますので、お時間が合う方は、是非一度、お立ち寄りくださいませ。