先日届いたサントリー芸術財団の『日本の作曲2000-2009』を読んでみたら、男子二人が「批評家のオレたちが奮起せねば」、「“超人”があと何人かいてくれたらなあ」等と言い合っていて、傍らの女子お二人が、こんな人もいるけれど……と水を向けても耳を貸さずにヒートアップする様子が、座談の会場はニューオオタニなのに、大学サークル(プロレス研究会とか?みなさん必殺技の解析とかメチャメチャ詳しいですし)の部室の会話みたいで、沼野さん熱いなあ、と思いました。立ち位置が、元・統合幕僚会議議長のご子息の文芸評論家、渡辺某氏に似てきたような……。音楽評論は、既に慶応の人が結構いらっしゃるようなので、(実際の出身じゃなくてもいいので)早稲田っぽいキャラの枠が対比としてあっていいのかも、ですね。
座談会の見どころは、周囲が止めても細川俊夫への叱責を続ける片山杜秀さんの男気。日本の作曲2000-2009 サントリー音楽財団創設40周年記念(単行本)
- 作者: 片山杜秀,白石美雪,楢崎洋子,沼野雄司,発行:サントリー芸術財団
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読みながら、不意に、次はブーレーズの本をまとめて読んでみようと思い立ったのですが(ブーレーズは、若くして新団体を旗揚げした伝説のレスラーで、セリエリズムとは有刺鉄線の死闘みたいなものなのかと思いきや、書いた本を最初のほうから読み直すと本人はそういうコワモテ武闘派一直線というわけでもなさそうなので)、でも、それはまたいつか。
映画「名もなく貧しく美しく」の音楽がどういう風なのか、番組告知があったときから楽しみにしておりまして、仕事をしながらNHK-BSを流しております。
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武満徹が秋山邦晴の映画講座にゲスト出演したときに、林光の映画音楽の代表としてこの作品を挙げていたので、気になっていたのです。
- 作者: 秋山邦晴,武満徹
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冒頭の空襲シーンは、あまりにもリズミカルに爆弾が落ちて建物が崩れ落ちる映像で、これでいいのだろうか、と不審に思ったのですが、林光の音楽はプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」みたいになる瞬間がありますね。フル・オーケストラや、鉄道と闇市の喧噪をバックにして、主人公の二人が淀みない手話で無言劇を繰り広げるバレエなのかもしれないと思いました。武満徹は、メロディーがラフマニノフ寄りになっていって、ふわっと宙に浮いたアメリカの映画みたいなところが好きだったのでしょうか。
(なお、耳の聞こえない夫婦の物語で、耳の聞こえる息子がラジオを聴いているシーンとか、そこで聞こえるのが「赤胴鈴之介」だったりすると色々なことを思ってしまいますが、そうした内容的な感想をここで書くつもりはありませんので、あしからず。(それにしてもあの結末は、話を終わらせるために仕方がなかったのか。))
高峰秀子さんの映画を観る機会が一挙に増えておりますが、「カルメン故郷へ帰る」は、浅間山麓の小学校の校庭で唱歌遊戯をやっていて、「正調唱歌」と言いたくなるスタイルで作曲してオルガンを弾く盲目の男性が登場しますね。「歌う国民」の渡辺裕先生は、この映画、ご覧になったのでしょうか。
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