さてしもあるべきことならねばとて

「大阪フィル八尾演奏会」は、今月26日に終了致しました。

八尾プリズムホールに鳴り響いた大フィルサウンド! 大阪フィルハーモニー交響楽団の公式ブログです。

この日病室へ顔を出そうかと近鉄八尾駅を出たら、たくさんのお客様がプリズムホールから出てこられるのに遭遇しましたが、どうやらあれが、大フィルの八尾演奏会だったようですね。(八尾で大フィルがよく演奏会をやっているのは知っていましたが、この日でしたか。)

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伊丹十三が、高度消費社会の消費哲学とか商品記号論に似たものを先取りしていたせいで、僕たちは何となく彼を同時代人だと思い込んでいる。でも、そうじゃありません。彼は戦中派なんです。1933年生まれですから。これは、誰と同じかと言うと、江藤淳なんですよね。

伊丹十三と「戦後精神」 (内田樹の研究室)

前から読もうと思ってストックしていたブログ記事を読んで、うちの父親が伊丹十三と同年生まれだったことを知る。

(内田先生はこの文章で - 敢えてなのかお気づきでないのか - 書いていらっしゃいませんが、昭和8年といえば、橋本國彦の奉祝歌にもあるように、当時の皇太子・今上陛下のご生誕の年でもありますね。敗戦の年に国民学校を卒業して「戦前の軍国主義の時代に少年期をまるごと残してきた世代」は、今の天皇とともに齢を重ねたことになります。

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私の父は、ちょうど国民の祝日に学校を含む公共施設での国旗掲揚が法制化された頃、小学校の校長をしていて、旗を揚げるために休みの日に出校しておりました。)

鹿児島大隅半島の航空隊のある町の外れに生まれて、母方の叔父が地元の高校の校長(自分もその学校へ通った)だったのに憧れて教師になった「堅物」ですから、今もそこで田畑を守っている姉や弟に「お前のところの息子(←わたしです)は何をやっているのか」と訊かれて、

「オレにもわからんのだから、お前にわかるものか」

と言っていたそうですが(負けず嫌いなのです(笑))、

八尾のお寺のご住職の若い息子さんが正信偈和讃六首引きを本願寺の制定した現行の譜割りどおりに明朗な発声で唱えて、ご住職が(どこかしら河内音頭っぽい雰囲気の発声・節回しで)蓮如上人の白骨の御文章を読み聞かせてくださる、というような一連のセレモニー(申し上げるまでもございませんが、大栗裕には、正信偈和讃と御文章それぞれによる作品があり、1982年4月20日の自身の告別式でもこれらの真宗聖典が唱えられたと思われます)の喪主をわたくしが務めることになりまして、なんという巡り合わせであることか、と思わずにはいられないのでした。

大栗裕没後30年の演奏会があって、「悪太郎」という室内オペラ(最後は「弥陀成仏のこのかたは……」の和讃で終わる)の楽譜校訂のお手伝いをさせていただいて、本願寺での音楽学会で大栗裕の仏教洋楽に関する報告(清水脩の正信偈「帰命無量寿如来 南無不可思議光」の文言によるア・カペラ合唱や、大栗裕の「白骨の御文章」による合唱曲をご紹介させていただきました)の機会を得た年が明けて、そうしたらセレモニーの当事者になってしまったわけで……。

http://www3.osk.3web.ne.jp/~tsiraisi/musicology/article/ohguri-nog20121125.html

なるほどこれは、当人にも「何をやっとるのかわからん」人生かもしれませんね。

大阪アースダイバー

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そうして来月は、大阪的混沌の現在形みたいな西村朗の還暦コンサートに、先の八尾演奏会で大フィルを振った飯森範親が出てくるわけですから、何やら色々なことが絡まり合っているような……。
音楽の生まれるとき-作曲と演奏の現場

音楽の生まれるとき-作曲と演奏の現場

1930年前後というと戦後のスター作曲家を輩出した世代で、西村朗は、そういう人達が一番華々しかった時代をリアルタイムに体験して作曲家になろうと決めた、という風に自分の立ち位置を語るのが常ですね。