トマシェフスキー家のマイケルくん

クラシック音楽の話はビジネス・オリエンテッドなマインドの方々の関心を惹きうる、というこの1年くらいのザワザワした感じの震源のひとつはこれか、ということが、遅ればせながら現物を手にとってわかった。

オーケストラは未来をつくる マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団の挑戦

オーケストラは未来をつくる マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団の挑戦

ひねくれた言い方に見えるのを覚悟で言うと、こういうのは、どうしても「勝てば官軍」、上手く回っている事業は全部がよく見える、というところがあるんだと思いますが、そういうことは、言ってもしょうがないので別にいいです。

商売をするときには、「現役感」って、きっとすごく大事なんだと思いますので……。

私としては、マイケル・ティルソン・トーマスは、きっと普通の人じゃないんだろう、どういう家の人なのだろう、と、とそこが気になって本を買ったので、

トマシェフスキー劇場の話に行き当たっただけで十分に満足した、でございます。

ニューヨークにガーシュウィンやコープランドがいて、ボストンにクーセヴィツキーがいて、第二次大戦でさらにたくさんの音楽家がヨーロッパからやってきて、そうこうするうちにバーンスタインがハーヴァード在学中からコープランドのところに出入りする、というようなお話は、さらに続きがあって、

レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー[単行本]

レナード・バーンスタイン ザ・ラスト・ロング・インタビュー[単行本]

小沢征爾が村上春樹との対話で言ってた話と符合する感じのエピソードもあるし、1989年だから、大植英次があっちこっちにくっついて回っていた頃ですよね。たぶん、基本いつでもこんな感じの人なんでしょうね。

ユダヤ人ということでは、ウィーン・フィルで「カディッシュ」をやったときの思い出話が強烈。

そのバーンスタインの秘蔵っ子扱いだったマイケル・ティルソン・トーマスが、今やクレズマー感満点にクラリネットが唸る芝居で、自ら歌って踊っている。

功成り名を遂げて資金をいくらでもつぎ込めるようになったガーシュウィンが黒人オペラを作ったのをなんとなく思い起こさせる話ではありますけれども、単純にサクセス・ストーリーとまとめるだけでは済まなさそうではあると思います。ここまでしてつながっておきたい太い水脈とはなんなのだろう、と。

(オーケストラの活動として、何が具体的に参考になるのか、ならないのか、そういうのは、わたくしが、わかりもしないのにわざわざ考えることではなさそうだから、何も言わない。)

ガーシュウイン:ラプソディ・イン・ブルー/パリのアメリカ人 他

ガーシュウイン:ラプソディ・イン・ブルー/パリのアメリカ人 他

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  • 発売日: 1996/10/21
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ガーシュウィン自身のピアノロールと共演して、何かちょっと尋常ではない感じがあるとは思っていたのですが、直接つながりたいのでしょうね。

晋三氏が憲法とか日米関係に手を付けようとすると、周りが岸信介のことをどうしても思い出してしまうようなもの……? ちょっと違う?