音楽家の住居

新垣隆氏の家の間取りはどうなっているのだろう。雑然とした部屋「しか」テレビには出てこなかったが、住居のすべての部屋があの状態なのか、どこかカメラの入らない一角に寝るスペース等が確保されているのか……。

仮に住居の大半があの状態なのだとしても、おそらくそれを撮影しているテレビクルーさん(放送局の下請けであるだろうような)にとっては、まあ、一人暮らしのフリーランスなら、こんなものかな、と思ったかもしれないし、番組の狙いとしても、雑然としているほうがよかったのかもしれないと思う。

(HIROSHIMAのスコアのコピーの束をそこらの紙袋から無造作に取り出すのも、いかにも感じが出ていた。別に過剰演出を疑っているわけではないが……。)

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思えば、ああいう感じの雑然とした住居で創作していたことが公然と知られている作曲家の最初は、他でもなくベートーヴェンだと思う。その意味で、一連の作品が「まるでベートーヴェンのような」生活のなかから生まれた、という納得の形があり得るのかもしれない。

(このような納得は、E. YAZAWA的にゴーチが成り上がるのと補い合って、20世紀的なアートvsエンターテインメントの対立の構図に収まってしまいそうだ。)

でも、フリーランスの住居は雑然としてしまうものである、というのは何なのかしら。

「都市の近代化」なるものにおいて、職と住の分離は分業の観点から不可避なのか。不可避かどうかはともかく、職と住を分離した先で何が起きるのか、みたいな話と絡められそうな気がするのだが、今はよくわからない。例えば橋下徹は、大阪市長という「職」が豊中の住居と完全に分離しているわけだが……。

とりあえず、家を整頓したうえで個人営業する、というのは、それなりにアリだと思う今日この頃。今朝は天気が良いので、押し入れの奥から予備の布団を引っ張り出して干した。