たとえば、の話だが、
「圧巻と評された」
という惹句があったときに、
- (1) 誰が
- (2) 何を
そのように評したのか、まずは確認しておこう、と考えるのが第一歩。できれば、
- (3) いつ
- (4) どこで
も知りたいところ。
そのためには、出典・情報源をつきとめることが必要になりますね。そして出典・情報源をつきとめると、
もしそれがいいかげんな発言ではなかった場合には、
- (5) なぜそのように評したか
ということもわかってくるはずです。
そしてここまでわかれば、もう一度最初に戻りましょう。
このような背景を背負った発言から、
「圧巻と評された」
という7文字だけを抜き出すことは、どのような効果を持つか、そして、なぜこの7文字「だけが」抜き出されたのでしょうか?
なぜこの7文字だけなのか、この疑問に答えるために、次に私たちは、この7文字を抜き出したのが「誰」であり、それは「いつ」「どこで」なされたか、を調べることになるでしょう。
これが、現代社会で文字を読み/文字を書く、という営みの最前線です。
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ある大学教員は語る。
「現在では、このようにして文字を読む/書く力はリテラシーと呼ばれ、文献の読解や文書作成の基礎として、教育の現場でも、このような力をつけることが重視されています。
世に流通している文字をこのように読むことを訓練し、そのことを通じて、文字がこのように読まれることを想定して書くにはどうすればいいか、その術を学ぶわけです。
21世紀の高等教育は、20世紀に宣伝・広告・マスメディアが大きく発展したことを受けて、着実に変化を続けています。リテラシーを重視することは、「旧態依然」「象牙の塔」と揶揄されることの多い人文科学のなかでも、現代社会を生き抜く人材を育てるための基礎力の育成に具体的に貢献している論点なのではないでしょうか。
これからは、そのような教育を受けて、文字を賢く読み解く世代が社会に出てきます。
「若い世代」へメッセージを届けたいのであれば、自分たちの若い頃を思い浮かべて作文するのではなく、はるかにリテラシー感度の高い読み手を想定する必要があるかもしれませんね。そしてこれは、簡潔で解像度の高い情報流通を心がけることにつながり、決して悪いことではないはずです。」
参考:http://d.hatena.ne.jp/tsiraisi/20140410/p1
【発展問題】 上の文章の「ある大学教員」とは誰を指すと思いますか。この文章の書き手は、なぜ、ここに「ある大学教員」を登場させたのでしょう。あなたの考えを簡潔にまとめてください。(30点)