正直な男

「いくらなんでもこれはちょっと……」と即座に判断できるくらいに耳の肥えた人にとっては、今更いうまでもないが、このオーケストラは、普段、こんな酷い演奏はしない。

「そこまで言わなくても……」と思う人は、27日にNHK-FMで先日のペトルーシュカの放送があるらしいので、何か誉めるところを見つけようとするのは、それと聴き比べてからのほうがいいんじゃないだろうか。

今回は、オーケストラがどうにか指揮者をカヴァーしようとしても、ブラームスを4曲いっぺんにやるプログラムではなすすべなし。荷が重すぎた。

「ボクにはこれしかできません、ここからスタートするしかないんです」と、包み隠さず、力量を白日の下にさらしたのは、正直といえば正直ではあるのでしょう。(もし私が感想を書くとしたら、正直であることの功罪に焦点を当てることになっただろうと思う。)応援してあげてください。

(とはいえ、本番がこうなってしまう演奏のリハーサルで、音が隅々まで美しく鳴りきっていたはずはないから、おそらく幻を聴いたのであろう。世の中にはいろいろな人がいる。音楽会は社会勉強だ。)