20世紀を創った世代

悪の出世学 ヒトラー・スターリン・毛沢東 (幻冬舎新書)

悪の出世学 ヒトラー・スターリン・毛沢東 (幻冬舎新書)

フェミニズムはコジマ・ワーグナーや江青(←今の若い人は誰だかわからないかな?)をどう位置づけるのだろうか。

スターリン(1878-1953)は、シェーンベルク(1874-1951)の4年後に生まれて、バルトーク(1881-1945)やストラヴィンスキー(1882-1971)より3、4歳年上。

ヒトラー(1889-1945)は、第一次世界大戦で伍長だった経歴からも想像できるが、プロコフィエフ(1891-1953)や六人組のオネゲル(1892-1955)、ミヨー(1892-1974)など戦間期の恐るべき子どもたちと同世代。毛沢東(1893-1976)もこのあたりの年代の人。

日本の元号で言えば、みんな「明治生まれ」ですね。幕末・戊辰戦争を知らない世代。

若い頃に表現主義やキュビズムや蓄音機を抱えたフィールドワークでアヴァンギャルドに目覚めて第一次世界大戦&ロシア革命へと爆走した世代(電話の盗聴による諜報活動は音盤文化と同じ20世紀のテクノロジーの産物である)が、中年期以後に社会の「幹部クラス」へ出世して粛清に怯えつつ加担してしまったり、コミンテルンを指導するインテリ左翼になってしまった、という図は、いかにもありそうな気がする。

シェーンベルク、バルトーク、ストラヴィンスキー(を支持する知的・文化的・政治的風土)を、見事に出世したからといって、いつまでも英雄視していいのか。

「スターリン世代」の功罪という観点から、20世紀を創った人々を語り直す、というのはアリかもしれない。

だからといって、「ヒトラー世代」のように、幼児的欲望に開き直られても困るわけだが。