ドイツ語(とたぶんフィンランド語?)による公演評PDFへの直リンクですが、
http://www.suomenwagnerseura.org/wagneriaani/s05/59-61.pdf
載ってる写真からLEDの光の道や衣装を確認できますし、本文を読むと、クプファーは2006年のフィンランドの演出ですでに3人の僧侶を出しているらしいっすよ。
いい舞台だからできばえに文句はないんですけど、今回のは、どの程度「新演出」なのかしら。
あとリンク先の記事は、光の道の稲妻のようなジグザグがリベスキントの設計したベルリンのユダヤ博物館を連想させると指摘している。だとすると、キリスト教とユダヤと仏教を重ねたことになりますね。
そしてフィンランドのお隣スウェーデンのインド学者がこういう本を書いている。(
- 作者: カールスネソン,Carl Suneson,吉水千鶴子
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2001/07
- メディア: 単行本
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オリジナルはスウェーデン語で1997年に独訳が出たらしい。[←訂正:オリジナルは1985年、独訳は1989年のようです。])
ワーグナーがショーペンハウアー経由でインド、仏教にはまって、パルジファルにその影響があるらしいことは以前からよく指摘されるらしいですが、クプファーの勝因は、それをガツンと一発、巨大なシンボルとともに印象づけたことだろうと思います。
こういうタイプのシンボル操作は、プラカード掲げた労働者のデモから壁の崩壊まで続く20世紀のプロパガンダの末裔、東独っぽいかもしれないな、と思いますし、おじいちゃんから子どもまで理解できる手法だから強いですね。(スケールの大きさはコンヴィチュニーでは太刀打ちできそうにない、負けてるぞ、と思ってしまう。)
[ちなみに、その後新国版をご覧になった先生方と雑談していて、あの衣は禅宗系かなあ、物語的にはインドやチベットでもよさそうなのだけれど、という話になった。]