インフレを怖れない

(岩下志麻登場は、なるほど最強の北大路対策だなあ、と感心したわけですが、メガネをお召しになると、頬が若干たるみ気味でいらっしゃることが強調されて、一瞬、晩年の朝比奈隆に見えた。

シカゴへ行かせよう、とか、リングを振らせよう、とか、世間が勝手に話をでかくするのは世の習い、泰然自若としていなさい、というスタッフへのエールであろうか。

あのドラマのポイントは顔だと思う。道具立てのインフレにもかかわらず、第1シリーズ以来の出演者たちの表情は醒めていて、マイペースで何も変わってない。本シリーズから出てきた関西のメガネのおっちゃんなんて、今回は台詞ゼロで、脚本には登場しているのかどうかすら定かではないのに、顔芸のみの黙役で今後への含みをもたせる演出になっている。登場人物が多すぎて、脚本家さんが使い切れてないのかもしれませんね。

圧力に負けて、レギュラーの方々までもが「巨大化」しちゃったりするのかどうか。そこを見守りたい。

米倉涼子が手術の最中に目を向くのは、「巨大化」の兆候のような気がして、ちょっと心配。シリーズ安定走行のためには、手術シーンにも何かお約束が欲しいのだと思うが、周りが時代劇芝居の応酬になっている今こそ、米倉は普通にしていて欲しい。)

柴田南雄著作集 第1巻

柴田南雄著作集 第1巻

「国書刊行会」からレンガのように分厚い三巻本で、解説:岡田暁生とは……。根拠のないインフレはドラマの中だけではないようだ。スルーしよう(笑)。