先日の大阪フィルのマタイ受難曲は、大学の授業がある祝日だったので第2部だけしか聴けなかったが、「バラバ!」と叫ぶところを聴きながら、ここは授業で使えそうだと思ってそのあとDVDを取り寄せて使用。
大フィルのときの合唱は、気持ちが入りすぎて(一声だけだから緊張しますよねえ)何の和音だかわからない感じも若干合ったけれど効果は十分。本当に恐ろしい減七和音ですよね。そのあと十字架のフーガになるし……。
日本語の字幕が入った映像となると、昔のリヒターのものより、今はピーター・セラーズだろうと思ってこれを使った。(バラバの妻の発言を横で見ている合唱団の女性がなんかいい味を出している。)
- 出版社/メーカー: Berliner Philharmoniker / King International
- 発売日: 2013/11/14
- メディア: DVD
- この商品を含むブログを見る
ベートーヴェンの交響曲は長らくブリュッヘンのCDやDVDを使っているのだけれど、場合によっては、そろそろヤルヴィ&ドイツ・カンマーを使ってもいいのかなあと思い始めている。
教材の音源や映像は、油断していると自分が学生のころに聴き慣れたものを選んでしまって、気がつけば何十年も前のものになってしまっていたりするから要注意ですね。今はもう誰もそんな風には歌わない/弾かない、というスタイルだったりするし……。
(ノリントンが昔クラシカル・プレイヤーズとやった「ロンドン」交響曲は、展開部の動機の変奏がめちゃくちゃ克明にわかるし、再現部の仕掛けを含めてハイドン流ソナタ形式の説明に便利なので手放せないが。)
- 出版社/メーカー: UNIVERSAL CLASSICS(P)(D)
- 発売日: 2011/09/21
- メディア: DVD
- クリック: 9回
- この商品を含むブログを見る
(魔笛も、色々やれ過ぎてしまう出し物なので、授業では今でもこれを使ってしまう……。)
[21世紀になってから録音録画されたコンテンツだけで「名曲○○選」みたいな本を作れないのだろうか。適当な演奏が見当たらない曲は、従来のその種の本の定番だったとしても「旬の演奏家から見放された古いレパートリー」とみなしてバッサリ切る。圧倒的なパフォーマンスがリリースされている曲は、従来の常識ではマイナーとみなされているものだとしても堂々と載せる。という編集基準で、クラシック業界に強引に「21世紀」を到来させてしまってもいいんじゃないだろうか。
そうでもしないと、クラシック音楽ジャーナリズムは、後期高齢者が何十年も前の録音を何十年の前の語り口で誉め合う場になっちゃうよ。あと10年くらいはそういう人たちが生きているし、皆さん熱心でお金も持っていそうだから、市場としては堅いのかもしれないけれど先細りが目に見えているわけですよねえ。]