大阪国

たまたまそういう日程になったに過ぎませんが、先の土曜日はアルティ四重奏団の演奏会のプレトークのお仕事をいただいたので打ち合わせとリハーサルの見学で朝から京都へ行ってそのまま本番(ベートーヴェンのパトロンの話を少し前に調べていたのはこの演奏会の準備だったのでした、6月に連日通った大阪の国際コンクールの審査員だったヴィオラの川本さんの本番でもあり、良い感じに一年の「締め」になった気がしております、ありがとうございました)。そして終演後は別の仕事で奈良へ移動して、駅前のホテル泊。

そうしたら、テレビでプリンセス・トヨトミというのをやってましたね。初めてみました。

翌日曜の現場は大和郡山城(立派な石垣が残っている)の真ん前で、ここは秀吉の弟、秀長の居城だったそうですから妙な偶然もあったものですが、プリンセス・トヨトミは原作のほうが圧倒的に面白いですね。

「そうそう、大阪の街の人ってこんな感じに見える」(私は余所者にすぎないけど)と思って読み進めると巻末に付録のエッセイがあって、万城目学は、ホンマに高津神社の近所の生まれなんですね。

空堀とか谷町筋とか、ちょうどこの小説が連載されていたころ、何度も大栗裕がらみで足を運んだあたりじゃないですか。

織田作之助とか服部良一とか、このあたり出身で大大阪モダニズムの時代の人気者だった人たちを押し立てて、「マスコミが喧伝するのとは違う大阪があるんやで」とアピールするのは2010年前後の時代の気分だったのかもしれませんね。橋下くんが知事から市長に降りてくる前の平松前市長時代の小春日和を思い出します。

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

この人、小説を出すたびに直木賞候補になってるみたいですね。