手技

遠き落日(上) (講談社文庫)

遠き落日(上) (講談社文庫)

医療ドラマを見ていると、手術をバリバリこなす外科医さんが「手技」という言葉を使ったりしますが、思えば、野口英世は、医者の世界へ飛び込んでいったのだけれども、「手先が器用」という価値観とは違うところで勝負した、しないといけなかった人ですよね。

思えば、ヴァイオリンもピアノも、外科医さんも、手先というか指先が器用じゃないとやっていけない世界で、5本の指を弁別して駆使するタイプの身体感覚は、自明のものとして遍在しているというより、特定の領域で局所的に発展しているような気がしないでもない。

「四肢」と言うが、手と足を峻別して、手のなかでも指先だけをちょいと動かすだけなのが指導者で、その反対側に、足だけを使う球技がある、みたいな話へ「踏み込む」(←足をめぐる比喩表現)と、これはこれで大変そうだが。

小保方晴子は手先が器用なタイプだったのか? 佐村河内守はどうだったのだろう?

リゲティを魅了したとされるアフリカの音楽のリズムは、「手先」の問題なのかどうか、等々、急に色々気になってきた。