代償行為

「何かしなければ」という衝動に突き動かされて、何でもいいから暴走……するかしないか、決めるのはあなた自身だ。

レ・ミゼラブル〈4〉 (岩波文庫)

レ・ミゼラブル〈4〉 (岩波文庫)

凄いのはジャヴェルを置いたことですよね。共和主義とポリスを巡る物語なんだ。自由か愛国か、とか、デモクラシーとは、とか、という日本でよくある問題設定とは、ちょっと違う。
第三の男 [DVD]

第三の男 [DVD]

都市の下水道というと第三の男、岡田暁生は、この映画をネタにウィーンの下水道とは、と語ったわけだが、既にユゴーがパリの下水道について滔々と論じ、下水道での攻防を描いている。下水道に都市の何かを象徴させる手法は、ユゴーなんですね。
楽都ウィーンの光と陰

楽都ウィーンの光と陰

一方、司馬遼太郎は、川路利良がパリで「下水道は必ず見ろ」と言われたエピソードをしっかり入れている。川路らのパリ視察は1870年代初頭、レ・ミゼラブル刊行(1962年)のすぐあとです。司馬はフーシェでツヴァイクの名前を出すし、下水道といえばパリで、レ・ミゼラブルだ、と、このあたりは当然読んで知っているということでしょう。(そりゃそうだ。)司馬遼太郎と岡田暁生の間のどこかで、この種の「文学」の教養が切れた。