ストコフスキーのシャコンヌ

ストコフスキーによるバッハのオーケストラ編曲というとトッカータとフーガが有名ですが、まとめて聞いて一番驚いたのはシャコンヌ。この指揮者がロシアのどういう音楽を引き継いだ人だったのか、ということが歌わせ方、弦楽合奏の鳴らし方でわかる、という気がします。小岩信治さんの言うロシアの「美しい短調」ですね。

ストコフスキーはラフマニノフと何度も共演して、ラフマニノフの北米時代の作品の初演も手がけていますが、ラフマニノフのほうにもバッハのピアノ編曲の録音が残されていますね。

残念ながら、ラフマニノフのバッハで録音が残っているのは、無伴奏バイオリンのパルティータの一部抜粋のピアノ編曲など、典雅な長調作品ばかりですが、帝政ロシアは、バッハを「美しい短調」に引きよせて愛していたのではないか、というのが、わたくしの仮説でございます。

そしてチャイコフスキーこそが、「美しい短調」のバッハ愛好・バロック趣味の原点なのではないか。

ストコフスキー編曲による「神は堅きとりで」は、チャイコフスキーの弦セレの出だしそっくりなんですよ。

先週末の講座では、そんなお話をさせていただきました。

次回は半年後、ブラームスなんてどうかなあ、と思っております。

このようなロシアの弦と、ブラームスのドイツの弦を見分ける、聞き分けるコツは?