有用性と確実性の運命

科学アカデミーと「有用な科学」 -フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ-

科学アカデミーと「有用な科学」 -フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ-

結局買ってしまった。

科学は社会の役に立つのか、科学論の大変興味深いテーマだが、あくまで社会史としての簡明な記述が淡々と続く。膨大な史料が手元にあって、読書量・調査量が圧倒的なときは、こういうふうに、いわば「簡易包装」でプレゼンテーションしたほうが効果的。お手本のような研究だと思いました。

(ルイ14世時代からはじまって、本の後半、ルイ16世の宮廷の打つ手が次々裏目に出るあたりは読み進めるのがだんだん辛くなってきて、遂に革命が起きてコンドルセが逮捕されちゃう「物語」があるのだけれど、そこも抑えた書き方になっていて、かえって、強い印象を受ける。)

明証性の科学と確実性の科学、科学の有用性、18世紀フランスは、こういうキーワードで考え直すと、色々言えそう。