学生目線の作曲家論

授業の準備をしていて、私はいつも、その作曲家が20歳くらいのときにどんな風だったか、周囲がその作曲家にはどのように見えていたか、というところから説明しはじめるなあ、と気がついた。無意識のうちに、学生目線で、「みなさんがその時代にいたら、こんな感じだったんですよ」と場面設定しているようだ。

声変わりしてウィーンの礼拝堂聖歌隊を卒業してフリーランスになったハイドン、とか、ボンにハイドンが来ると知って入門を申し込んだ頃のベートーヴェン、とか。

で、今現在、日本語で読める(本屋で現役出版物として普通に買える)ベートーヴェンの評伝って、現役出版物としては、ほぼ存在しないんですね。(子供向け伝記やライトなクラシック解説書を除けば。)

いいのだろうか……。

(「本には出ていない切り口でベートーヴェンについてお話します」と言い続けることができるので、私個人が授業を楽しくやらせていただく分にはありがたいとも言えなくはないが。)