ソリストの受難

先週末から京都で欧米&国内から招待された学生さんたちの恒例の演奏会(半導体で得た巨万の富で数々の助成を行うローム財団さんこそが日本における「メセナの巨人」ですよねえ)を聴いて思ったのは、

(1) どうやら欧州で「イケてる学生」は、ピアノであれ弦楽器であれ管楽器であれ、室内楽に熱心であるらしい。(室内楽がちゃんとできる学生はソロや「オケなか」も立派にこなすし、先々のキャリアを考えても「リア充」っぽい気配がある。)

(2) でも、室内楽をちゃんとできるためにはコミュ力とか音楽の総合力とか色々必要そうで、そこまでやれない人たちが一点突破のソリスト志望になっているように見える。(ただし、いまではいわゆる「音楽の国」はアジアにも南米にも開かれて世界中にライヴァルがいる狭き門だし、その狭き門をくぐることができたとしてもワールド・ツアーは激務だし、オーディエンスは音盤と記憶で過去のあまたの「巨匠」と比べてあれこれ言うので、どこまでいっても茨の道ではありそうだ。)

ソリストのキャリア形成としてコンクールの是非とか言うのは前世紀の古い話。

コンクール経由で出て来ようが、そうでなかろうが、大した違いはありはしない。

そして数としては(2)(つまりはソリスト志望)が相変わらず圧倒的多数で、話題作りをしながらエージェントが日本にも次々新人を送り込んでくるわけだけれども、そういう大枠が変わらないがゆえに、ますます(1)の希少価値が高まっているように見えますね。