Rebirth

戦後日本の宗教史: 天皇制・祖先崇拝・新宗教 (筑摩選書)

戦後日本の宗教史: 天皇制・祖先崇拝・新宗教 (筑摩選書)

オウム真理教を直接扱っているのは最後の章だけだが、本の構成としては、戦後日本の宗教をめぐる諸問題がすべてここへ流れ込んでいるかのような筋立てになっているので、読み終わると、全編が島田裕巳によるオウム真理教論であったかのようにも思えてくる。

そして1995年当時、若い大学生・大学院生さんたちがあの事件に異常に強く反応していた理由がちょっとわかったような気がした。

あの教団の幹部さんは、80年代に大学生・大学院生だった世代なわけですよね。つまり、わたしらと同年代だ。

一回り若い90年代の大学生・大学院生の皆さんは、ひょっとすると、あの人たちに上の世代(←ワシらだな(笑))の嫌なところ、ダメなところが集約して現れていると思っていたんじゃないか。そしてああいう風に事件になって、彼らが強制的に排除されるのを見て、これでやっと本当の意味で1980年代が終わった(つまりはオレたちの時代がやってきた)と感じたのではないか。

忌まわしい古い殻を脱ぎ捨てた「Rebirth/再生」の清々しさだ。

それから20年経ってみると、この20年で起きたことは、宗教の終焉もしくは衰退というより、それに取って代わろうとする信念・イデオロギーズの百鬼夜行だったような気がするけどね(笑)。