「造幣局製」

ようやく大栗文庫のオープンリールテープの中身の確認が終わって、2009年から足かけ6年かかった作業が形になりそうなのだが、やることは他にもある。

大栗裕は生前に大阪府芸術賞を受けて、没後、第1回吹奏楽アカデミー賞作曲賞を贈られているが、遺品のには他にもいくつか記念の品々が含まれている。

そのひとつが、1955〜1956年に関西交響楽団がやったモーツァルト生誕200年記念のピアノ協奏曲連続演奏会の小さな記念プレートで、そういえば大栗裕は、意外に思われるかもしれないけれど、「一番好きな作曲家はモーツァルトだ」と生前に書いていて、ホルン奏者時代に関響定期で、ソリストの来日がキャンセルになって、モーツァルトの協奏曲を代役で独奏したこともあるが、記念プレートの下部の刻印は「造幣局製」となっている。

造幣局が貨幣鋳造だけでなく勲章やメダルの製造もやっているのは知っていたが、モーツァルト・イヤーの記念品製作をどういう経緯で造幣局が請け負ったのか。

プレートの裏側には、この連続演奏会について「主催 モーツァルト生誕二百年祭祝典委員会」と刻印されているのだけれど……。

(ちなみに、1970年の大阪万博のときに大栗裕に送られたプレートの刻印は「MINTED BY SHOKOSHA LTD」で、大阪万博は各事業が民間に委託されていたことがわかる。)