義侠心の制御

議論が再び不毛な平行線をたどることを防ぐために付け加えさせていただきますが、

増田先生の現在の煩悶は、「無責任体質」の罠に絡め取られていることに起因するというよりも、負わなくてもいい責任を気安く請け負ってしまう一種の義侠心の空回りである可能性が高いのではないでしょうか?

そして「無責任体質」の告発は、今あなたが背負わなくてもいい、余計なおせっかいである可能性が極めて高いと思われます。

あなたが請け負っている学会の運営委員という役職は、緩やかであるとはいえ「官僚制」に近い性質を備えていますが、ここであなたが、「無責任体質」に加担してはならない、という義侠心を発揮することは、おそらく、事態をかえって悪化させると思います。

(a) 日本音楽学会が本当に「無責任体質」を病んでいる場合、あなたの運営委員という立場は、責任を負うことができない役職の最たるものです。そして、責任を負うことができない者は、間に割って入るのではなく、責任能力がある当事者間の実質的な交渉を促すべきです。

(b) 逆に、(そんなことはあり得ないと思いますが)もし日本音楽学会が官僚制にふさわしい分業と有限責任の連鎖を実現できているのであれば、あなたの例会担当という役職は、最終的な責任者である学会代表に、事態の報告とともに責任を委ねるべきでしょう。

私があなたに語っていただきたいのは、官僚制とその罠についての定型化された一般論の組み合わせではありません。

あなたは、昨年度の例会担当としての業務において、(a)の態度も、(b)の態度も採用されませんでした。

どういう思考回路で、過剰に責任を引き受けようとされたのか、あなたの思考と行動の回路における「義侠心」の働きについて、これでようやく、あなた自身による説明をお伺いできる。私はそのように期待しております。