半年→4時間

この状態のビニール袋入りのオープンリールテープテープ約180本が、

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4時間後にこうなったのだから、よしとしたい。

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かつて録音スタジオはそれぞれに必要項目の入った特製の定型紙を用意して、必要事項を書き込んでから箱に巻いてテープを管理していたようなので、今回はそれに倣った。Historical Informed な整理法である。

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どういうフォーマットの紙を用意して、各テープにどういう分類番号やIDを割り振ったらいいか、それを確定するのに半年かかったことになりますね。

まあ、世の中そういうものでしょう。これを、4時間ひたすら紙を折る作業が続くからと言って単純労働に分類したり、学者・研究者のやることじゃない、と考えるのは、端的に愚かだと思う。

もともと各テープに巻いてあった紙は、これも各テープの素性を知る大事な資料なので、これ以上の劣化を防ぐために、IDで紐付けて別途管理することにした。

IDは、「何年何月何日の何本目」というタイムスタンプ方式で、テープには、データを再生・デジタル化したその場でIDを割り振っている。2009年の春におっかなびっくり最初の1本を再生・デジタル化したときに、この簡便な方式を採用しておいて、本当に良かったと思う。

(ちなみに、その最初期に再生・デジタル化したうちの1本が、昨年、学会でご紹介した六斎念仏の録音である。)

その種の「整理術」は、まあ世間でよく言われていることではあるが、

180枚の紙をどういう手順で用意して、使いやすいように裁断するには、学校のどの道具をどういう風に使ったらいいか、というのは、以前、大学の事務室にいた方がこういうのをあれこれ親切に教えてくれる人だったので、その頃覚えたことだし、

紙を折って箱に巻く、というのは、鈍くさくやると途中で飽きちゃうし、イレギュラーな事柄が途中に混ざると、混乱してミスを誘発する。工場の業務管理などで言われていそうなことだが、これは、以前、地元の音楽家協会で、何度も会員向けの郵便物を発送する作業を仕切らなければいけなかったときに色々考えた経験が役立った。やってることは、封筒の宛名貼りとほぼ同じですから……。

(「関連する事項はすべて書くべきだ」とか、「何かの影響を受けたのに成果物でそのことを明記しないのはけしからん」とか、理念として、それは確かにそうなのだが、私は、将来これらのテープの情報をまとめて公表するときに、こうした事柄もすべて「謝辞」なり「参考文献(?)」で明記せねばならぬのだろうか? スキルや経験というのは、そういうものではないように思うのだが……。)

今回、紙を剥がしたり巻いたりする作業のなかで新たに気がついたことがいくつかある。

たとえば、どのジャンルのテープ、どの時期の録音に、どのメーカーのどういうテープが使われているか。箱に紙が巻いてあると気付きにくいが、紙を取り去ると一目瞭然だったりする。

ただし、紙をはがしたら、数秒後には新しい紙を巻いてしまうので、実際に紙巻き作業をやらないと、たぶん、なかなか気付かない(かもしれない)。

実際にやってみること、「実技」をおろそかにしちゃだめヨ、ということである。

(もちろん、気付いたことはすぐにデータをまとめて、今後、他の人が使えるようにするので、「誰かがやればいい(自分がやらなくても……)」となりがちではあるが、こういうのって、「誰かがやるだろう」と怠けていると、結局、誰もやらなかったりしますよね。「誰か」ではなく「誰がやるのか」。集合知論で、そこのところをうまく説明できるのだろうか。)

[追記]

私が個人のボランティア(←です!)で介入・お手伝いするのはここまで。ここから先は、資料の新しい所有者・管理者にバトンを渡します。

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