4分の3拍子の6つ振り

東京音大が、広上淳一のコーディネートでパーヴォ・ヤルヴィの指揮者講習会をやった、というのをNHKが放送していたが、学生がジュピターの第2楽章を6つに分けて振ろうとするのを、ヤルヴィは即座に3/4の器楽オペラなのだから3つで振れ、と言っていましたね。深い呼吸で歌いなさい、と。

広上がそのあとでヤルヴィに「これは指揮者にとって、とても難しい曲だと思いますが……」云々と質問して、コメントを引き出そうとしていたけれど……、

実はつい先日の京響600回定期の前半がジュピターで、京響は可能なかぎり定期に全楽員を乗せる方針でずっとやっていて、後半のツァラツストラとは管楽器のトップも違っているし、弦楽器を減らさないんですよね。で、広上は、第2楽章をずっと6つに分けて振っていた。

そういう意味で、ヤルヴィのレッスンはもちろん面白かったけれど、広上の心中を察すると味わい深いものがあった。昔はちょっと違ったような気がするのだが、日本に戻ってきてからの広上淳一は「楽員に無理をさせない」というのが基本スタンスになっているようで、でも、ヤルヴィは、そういう風土に染まらない指揮者だから受けているわけですね。

ただし、外国から招いた指揮者が「さすが本場の人は違う」と輝くようにお膳立てするのは、古式ゆかしいNHKの流儀である、という風に思えなくもない。