千葉雅也は「前期ハスミン」っぽいのかもしれないけれど、後期蓮實重彦はどこかしら輪島祐介を思わせる。東大人文ウォッチングは、哲学を神のいない時代の宗教にしようとしたヘーゲルにいつまでも固執して、ヘーゲル右派とかヘーゲル左派とか言っていた19世紀ドイツの教養主義と同じくらいくだらないとは思うけれど。
とりあえず、哲学者たちの評判があまりよろしくないらしい長谷川訳で「音響」の節を読んでみた。「共鳴」現象は既に知られていたようで、共鳴によって生み出される楽器音などを「本来の音」と呼び、通常の振動の伝播と区別するのは、いかにも後世の自然科学や実証主義によって「観念論の逆立ち」と揶揄されそうなヘーゲル話法だなあと微笑ましく思われたけれど、音を受けることは音を発することだ、という意味に取れそうな文言は見つからなかった。自然哲学―哲学の集大成・要綱〈第2部〉 (哲学の集大成・要綱 (第2部))
- 作者: G.W.F.ヘーゲル,Georg Wilhelm Friedrich Hegel,長谷川宏
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2005/02
- メディア: 単行本
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