演劇言語の記号学

放送劇の語りの言葉をどう考えたらいいのか。モノローグからディアローグへ、という順序で分析が進んでいたはずだから、出て来ないかなあと思いながら読み直してみたら、なるほど、と思うやり方で取り扱われている類似案件が見つかった。ここで論じられているのは、ドラマ成立以前から存在して、ドラマの消された基底のような働きをする言葉の問題、いわば、演劇以前の言葉の問題だと思うのですが、近代劇以後を考えるために、まずはここから勉強させていただこうかと思っております。

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家にあった本は買ったときの帯も付いていて、佐々木先生はまだ第5回だったサントリー学芸賞を得ていたんですね。

で、初出は岩波『思想』の連載だったらしい。そういえば、前に松下眞一の連載をチェックしたときに、見田宗介の連載とともに、「せりふの構造」を見かけたような記憶がある。文化人類学や記号学が社会学や美学を活気づけていた時代ですね。70年代80年代だって、文学部は古典注解しかやっていない、というわけではなかったのに、記憶というものは、こまめに再構築しないと、捏造気味に単純化されてしまいますね。

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(新しい本棚を週末に入れるので、この20世紀末の雰囲気が漂うコーナーは我が家から消滅する予定……。)