顔合わせ

芸術新潮1956年11月号に、森正、吉田雅夫、岩淵龍太郎などのオケマンが吉田秀和の司会で日本のオーケストラの現状を語り合う座談会が載っている。

柴田南雄の自伝と照合すると、翌年夏の軽井沢の現代音楽祭に向けて水面下の準備が進んでいた時期であるらしい。20世紀音楽研究所主催という形になる音楽祭は、柴田、諸井誠、黛敏郎、入野義郎の4人の作曲家がコアメンバーで、(おそらく柴田が)親しい吉田秀和に早くから相談に乗ってもらう一方で、森正や園田高弘らの演奏家にも声をかける、という風に話が進んでいたようだ。芸術新潮の座談会は、一緒に仕事をすることになる評論家と演奏家の顔合わせだったのではないか、という風にも見える。

(それにしても、柴田の自伝は、父方母方の家系を語るだけで3章を費やしていて、植物学的系統樹を作るこの人らしい構成になっている。)

わが音楽わが人生

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