ブリテンと二期会

思えばブリテンのオペラは戦後日本で結構継続的に上演され続けている。出演者の多いアンサンブル・オペラなので、同時代のドイツの劇場をお手本にして、「正しいモーツァルトの上演」を目標に掲げてスタートした二期会の活動と相性がいいんだと思う。

オペラにおけるブリテンは、情報量が多く、音楽の様式だけを取り出せば過剰ではあっても過激ではなく、取り上げる題材は結構攻めている、という点で、20世紀のモーツァルトなのかもしれませんね。

兵庫芸文の真夏の夜の夢は、パロディとお色気を隠さない演出なので、一層モーツァルト的になった気がしますが、舞台の背後がずっと黒幕だったこともあって、全編が「夜」の雰囲気。平穏な天上界であるとか、夢から覚める朝・夜明けであるとかで気分を変えることができなかったのは、音楽(オーケストラ)のせいだと思う。それこそモーツァルト的に、芝居と音楽がもっとフットワーク良くかみ合うスコアになっているんじゃないかなあ、と思いました。重厚で野暮ったい後味。