芸術新潮のジェンダー

創刊号から40年分にざっと目を通して、自分なりの感想をまとめたところで、ふと、ウィキペディアの「芸術新潮」の項目を読んでみた。

判型は、創刊時の四六判(A5判をこう呼ぶらしい)から1961年にB5判、1981年にA4判に変わるのだが、この記事では前者に言及がない。

それはともかく、おっ、と思ったのは、

1980年代から1990年代にかけ、読者層・編集サイドともに女性が主となった。

芸術新潮 - Wikipedia

という記述。曖昧な書き方ではあるけれど、80年代から編集部に女性スタッフが入るようになり、女性読者を想定するようになった、ということかと思う。ただし、70年代までが露骨に「男性向け雑誌」だったのは、実際に読んでいてそうかもなあ、と思うけれど、いつ頃からどういう風に「女性の視点」と呼びうる何かが入っているのか、80年代の誌面で言うと、レイアウトの変更・個々の取材記事の文体が変わっていくことに着目できそうではあるけれど、大きな特集のテーマや執筆者の人選まで80年代から既に変わっている、と言えるかどうか。

具体的なことはわからないけれど、80年代には、現場で女性スタッフが実務的に動けるところで動いていたのだろうけれど、編集権は男性スタッフが握ってたのではないか、という感触がある。女性スタッフが編集する雑誌になるのは、もう少しあとなのではないか。そしてそういう風に雑誌の性格が推移しているのだとしたら、90年代以後も見ておきたいと思う。

一方、音楽之友社の雑誌は、どうやら今も男性編集長が作っているようだ。

21世紀に入って、新聞の文化欄、音楽記者は少なくとも関西では、女性の方が多くなっている。男女雇用機会均等法の施行時期を考えれば、私たちと同世代からそうなったと見て良いだろう。

主要クラシック音楽雑誌を男性目線で作り続けて、本当に大丈夫なのか?