神に傅く

ナクソス島のアリアドネ2日目。並河寿美のギリシャ彫刻のような立ち姿を中心に据える見事な舞台でございました。

喜劇役者たちが歌い踊る背後で静止し続けるのは、兵庫芸文の蝶々夫人の間奏曲で障子越しに彼女のシルエットを映したのを彷彿とさせたわけですが、彼女は、数年前の夕鶴のときもそうだったけれど、座り姿の決まり方、安定感とオーラが素晴らしいと思う。

バッカスの傍らに跪いて、うつむき加減で歌い出す弱音の輝かしさは絶品でございました。

(清原邦仁が、椅子を見事にクルクル回して、最後に音を立てずに優しくトンと位置を決める心遣いも、見逃せないポイントであったかとは思いますが。)