独立採算制

私は次の学会全国大会に行くが、日帰りのつもりである。宿泊費や懇親会費を出す余裕はない。

ふと思ったのだが、いい発表を揃えて質を向上させたいのであれば、

  • 発表者には旅費・宿泊費を全額支給
  • スタッフには適正な賃金を支給

というのを原則にして経費を算出したうえで、学会を参加者のチケット収入による独立採算にできないのだろうか?

委員には旅費を出す。専任教員で出張扱いにできる人たちは経費を節約できる。一方、発表者は自力で会場までたどりつけ。そういうビジネスモデルでやっているから、「先生がたにご足労いただき、若輩がありがたく発表させていただく」みたいな妙な権力関係が発生しちゃうんだと思うんですよ。学会は、お金の使い方を間違っている。

仮に参加費を10,000円に値上げしたとしたら100人参加で1,000,000円。このうち半分を発表者の人件費に充てることができるとしたら、ひとり平均20,000円支給するとして、500,000 / 20,000 = 25件に発表を絞り込む計算になる。競争原理の導入による卓越性の追求、という昨今の風潮に照らせば、全国大会の発表件数はこれくらいが順当なのではないか。厳選された25件の発表を良好な状態で成功させるためにスタッフが動き、参加者がこれを支援する。そういう設計にしたほうが、学会は健全化するのではあるまいか?

赤字を出さないように、学会の集客を考えねばならない、そのためには、研究者が聞きたいと思う研究発表をちゃんと揃えなければならない、という風に、学会を研究ワールドのゲームにしてしまうわけだ。

こういうのが、「囚人のジレンマ」を脱出する「協力のインセンティヴ」のひとつの形なんでしょ、違うの?