研究職と事務職の関係

日本政府のような総合的な統治機構のことはわからないが、日本音楽学会に関して言えば、歴史的な経緯から最初の30年くらいは本部事務局と学会誌編集を東京藝術大学楽理科(と音楽之友社)ががっちり握る形で運営されていた気配がある。

私が院生で入会した1980年代に、やたらと「委員会」「役員会」が増えたのは、会員増への対応という恰好の理由があったので、権限を分散させることで藝大・音友連続体の突出を抑える作戦が敢行された、ということだったのだと思う。

でも、21世紀に入ると、大学教員は本業が忙しくて、その種の会合を負担に感じて、片手間のルーティーンとしてしかやれなくなって、しかもボランティアだし、何らかの手当のつく「仕事」としての本部や機関誌編集事務のほうが何かと強くなってしまった(しかも「事務職」の性質上、先例踏襲を何十年も続けてきた convention の強みが加わっている)、という風に、組織内のバランスが再び崩れているように見える。

これをどうするか、という話は、道ばたの憂さ晴らしの喧嘩ではなく、「裏番組」として成立すると思うんだけどね。視聴率は獲れないだろうけれど、それこそ「有用」だろう。