啓蒙と幻想

観念論哲学(教養)と関連づけながら19世紀前半のドイツ語圏の音楽を考えようとするときには、この対概念は、ナショナリズムという19世紀後半にせり上がってくる主題や、影響の不安という20世紀の文芸批評用語より、はるかに音楽に即して使い勝手がよさそうだ。

堀朋平は、ドイツのメランコリアとファンタジアをめぐる議論をも上手に歌曲論に組み入れて、刈り取ってしまった……。