メディアミックスの文法

月9 101のラブストーリー (幻冬舎新書)

月9 101のラブストーリー (幻冬舎新書)

ドラマ本編で主題歌が鳴る、というのは「月9」の文法なんですね。番組が佳境に入ったところでオフコースやチャゲアスのシングルCDが発売されてヒットチャートを席巻するタイアップの手法がどのように生まれたか、「月9」の歴史はメガヒットを連発した90年代J-POPの歴史でもある。

90年代半ばの三谷幸喜は、そういうメディアミックスの文法から外れた場所をフジテレビの中に作った人、という立ち位置で、出演する役者が違うし、平井堅のエンディングの歌がドラマ本編で響くことはなかったが、最初の連続ドラマ(急な代役でホテルにカンヅメになって書いたそうだが、上の本を読むと当時のフジのドラマはそれまでもそうやって新人脚本家をデビューさせていたようだ)ではチャゲアスがガンガンに鳴っていた。織田裕二、石黒賢、千堂あきほ、という「月9」風の座組で、Yah! Yah! Yah!は、たぶんSay Yes以上に売れたはず。

真田丸のテーマ音楽の使い方は、NHKのスタッフが代替わりして、放送局の看板史劇が90年代民放&J-POPの文法で制作されるに至ったということになるのでしょうか。(大河ドラマのテーマ音楽は、J-CLASSIC的に奏者を売るとしても、そこまで爆発的なヒットにはなりそうにないが。)