後追いによる自己満足

少し前のことだが、関西の歌手を何人か招いたオペラ公演を東京の評論家たちが聴いて「やっぱりイマイチだったね」と言い合う、というような出来事があったらしい。

何が起きているかというと、なるほどその人たちはある時期関西でいい仕事をしていたのだが、評判が定着するのに時間がかかって、残念ながら既にもう旬を過ぎている、というようなことであるようだ。現地で取れたての鮮魚を食べると美味いが、その魚を東京に取り寄せても、鮮度が落ちてしまう。そういう魚を築地市場の食材と比べるのはナンセンスなわけだが、東京人は「やっぱり築地は世界一だ」と思い込む。そうやって東京人の自己中心主義が維持される。