Google検索実習:アルディッティ弦楽四重奏団と白井剛の初共演はいつですか?

先の京都ロームシアター公演は事前に当世風の「攻めの広報」が展開されて、

好評だった2008年の『アパートメントハウス1776/ジョン・ケージ』以来の顔合わせ

という文言を色々なところで何度も目にすることになった。

だが、この文言は少々ミスリードだと思う。

白井剛自身は、

2006年と2008年にジョン・ケージの音楽で共演した、アルディッティ弦楽四重奏団と、再び。今回は、ヤニス・クセナキスです。

と自ら情報発信して、2008年が最初ではないことをわからせてくれるが、これでも実は十分ではなく、どうやら、2006年の日本ツアーで、ジョン・ケージ/アーヴィン・アルディッティ編曲「44のハーモニー(ダンスヴァージョン)」 とクレジットされたパフォーマンスがこのプロダクションの世界初演。これが2007、2008年にアルディッティ弦楽四重奏団+ケージ+白井剛「アパートメントハウス1776」として再演された、ということのようだ。

(あと、2012年にはアルディッティ四重奏団がケージで狂言師や能楽師と共演したこともあるらしい。こうなると、はたしてアルディッティ側がダンスとのコラボに熱心なのか、日本の興行師がこれを鉱脈だと考えて次から次へと企画を持ち込んでいるのか、今手元にある情報だけでは、判断がつかなくなってくる。)

ポスト・トゥルース時代の「攻めの広報」は、こういう面倒くさい事情をウソでもホントでもどっちでもいいから、ぎゅっと圧縮して、キャッチーな言葉でエコーを生み出さなければならないらしいので、まあ、いいんですけどね。

(検索ワードを工夫すれば、上記の情報はGoogleでさほど時間をかけずに判明しますし。)

でも、「攻めの広報」って、言うほどええことなんですかね?

(7月のバーンスタイン「ミサ」が23年ぶりなのは、私自身が23年前に渋谷で聴いているので、確かにそのとおり、と納得できますが、先月の関西二期会「イリス」は、過去の上演記録がどうなっていたか、井上道義がいつどこで何回やったのか、関係者の言うことは曖昧で、結局自分で調べないといけなかった。主催者さんは、お客が入って一安心かもしれませんけど、ポスト・トゥルースな「攻め」のせいで、周りは情報がワンワン響きすぎて、えらい迷惑しとります。騒音問題とちゃいますかねえ。)