ニューイヤーコンサートに見るテレビと舞踊(バレエ)の相性の良さ

ミュージカル映画というアメリカの象徴のような輝かしいジャンルがあるけれど、20世紀の映像・動画メディアの中で、舞踊と一番相性が良かったのは、ながらで眺めることができる=見物観光という態度を許すテレビだったかもしれない。MTVのマイケル・ジャクソンという好例があるけれど、テレビはそれだけでなく、各国で黎明期からかなりのダンス番組を制作していたのではないか。

日本の民放開設は、ちょうどバレエブームと同時期だったので、黎明期のテレビはバレエをよく放送したらしいし、YouTubeには外国の様々な映像がアップロードされていますね。

で、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートのテレビ中継に別撮りしたバレエが被さるのは、そういうテレビ黎明期からの経緯があってこそなのではないか。

屋外や歴史的建造物でバレエ、というのは、バレエが20世紀に再生した頃の意欲と、テレビがニューメディアだった頃の実験精神を掛け合わせないと出てこない発想のように思うのです。

とりあえず、かつての渡辺裕のようにニューイヤーコンサート自体をおちょくる(ちなみにそのおちょくりの態度が吉田寛の音楽の国論に繋がるわけだが)のではなく、演奏会のテレビ中継とその演出の歴史を誰か整理してはどうかと思います。