没後100年

今年はドビュッシーの没後100年になるらしい。

第一次大戦末期に亡くなったことは知っていたが、第一次大戦から100年なのだから、なるほどそういうことになりますね。

ドビュッシーは没年より生年の印象が強い。1962年生まれだから、ほぼ自分の100年前に生まれた人だ、というのを前から時々意識していた。別に、ドビュッシーに自分をなぞらえるのではなく、20世紀の「60年代生まれ」なものだから、19世紀の「60年代生まれ」に何となく親しみを覚えてしまう。とはいえ、マーラー(1960年生まれ)やリヒャルト・シュトラウス(1964年生まれ)にそういう近さを感じないのは、この人たちの音楽や生き方があまりにも19世紀っぽいからでしょうか。

で、今年がドビュッシーの没後100年ということは、50代で死んだんですね。

19世紀前半のロマン派を代表する作曲家たちは30代、40代で相次いで亡くなるし、同世代ではマーラーがもっと若くに死んでいるし、少し上のブラームスやフランクやフォーレは、いかにも老人然とした写真が残っているけれど、フォーレが70歳を越えただけで、ブラームスとフランクは60代で死んでいる。ドヴォルザークもそうだし、チャイコフスキーは死んだときにまだ53歳、今の私の年齢ではないですか。

19世紀の終わり頃には、50代を「まだまだ働き盛り」とは言えなかった、ということなのか、やっぱり彼らは、働き盛りに惜しまれつつ亡くなったと見ていいのか……。あるいは、21世紀になっても、50歳を過ぎると、そろそろ、「おっさん」から「爺さん」に移行しつつあると覚悟せねばならないのでしょうか?

ドビュッシー (作曲家・人と作品シリーズ)

ドビュッシー (作曲家・人と作品シリーズ)

いずれにせよ、没後100年ということは、ドビュッシーを1960年代生まれの私(たち)より年長の「同時代人」たちが「同時代の音楽」として語るモードは、もう不可能でしょうね。

ドビュッシー―生と死の音楽

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2013年には、「現代」の原点としてのストラヴィンスキーは今もまだ新しい、というノリで「春の祭典」100年が喧伝されていましたが、もうそういうことではない気がします。同時に、2018年はバーンスタインや大栗裕の生誕100年(松本清張も生誕100年)。戦後の経済成長期に活躍した人たちが「歴史」に登録されつつある巡り合わせですね。