Truth in Fantasy

ゲーム関連のシリーズで既に10年以上前にこういう本が出ていたのか、なるほどなあと思う。

吟遊詩人 (Truth In Fantasy)

吟遊詩人 (Truth In Fantasy)

中世の写本(騎士歌人たちの詩とネウマ譜がトロヴァドゥールの伝記や注記を添えて伝承されている、というのは日本の歌物語と似ていて興味深い)から史実として言えることはかぎられていて、その後の想像力がリチャード獅子心王の物語やヴァルトブルクの歌合戦のタンホイザーを生み出しているプロセス全体を見ようとすると、ロマン主義文学やワーグナーのさらに先、現代のビデオ・ゲームまで視界が広がるはずだ、ということでしょうか。

中世フランスのカペー家とアキテーヌ家の関係はなんとなく源平合戦風で、負けたアキテーヌ家の繁栄の記憶が詩と歌として伝承された、というのは平家物語みたいでもある。

騎士歌人の詩歌は「恋愛文学」の起源と言えるか言えないか、という話を小谷野敦がやっていたけれど、もっと広がりのある切り口で騎士歌人を捉えることができるんですね。

さらに踏み込んで、詩・歌の読み方、聴き方が具体的に変わるかもしれないところまで議論を研ぎ澄まさないといけないのでしょうけれど。