2016-12-13から1日間の記事一覧

だめ押し

真田丸を見直すと、「ずんだ餅はいかがかな」と声を張って言ったあとで、間を置いて、有働さんのナレーション(ずんだ餅の語を平気で無視する口調なのはそうでなければならぬ)にかぶるタイミングで、もういちど声を落として「ずんだ餅……」と言っている。こ…

翻訳者という神官

『英詩のわかり方』で阿部公彦は、日本の外国文学者が詩の翻訳を手がけるのはカトリックの司祭に似ている、と書いている。うまい比喩だと思う。音楽学者がオペラやリートのコンサートで訳詞の字幕を作るのも、祭儀に神官が召喚されるのを思わせる。翻訳が神…

ドイツの「民謡」と韻律

昨今の若者の「運動」の盛り上がりを受けて柴田翔が東大の学生運動を書いて芥川賞を受けた小説に言及した文章を見かけるが、柴田本人はその後ドイツ文学者になった。彼が東大教授として編集したドイツ文学史の概説書を読んだら、「近世」の詩としてハンス・…