2017-01-25から1日間の記事一覧

20世紀の何がたそがれたのか?

批評の基準としての「新しさ」とか、カリスマの崇拝、活動の教団化とか、というのは、20世紀の「音楽」の問題というより、「シリアスでアーティフィシャルな音楽」がマイノリティとして大衆消費のマジョリティのなかへ乗り出す際の戦略に属する事柄だと思う…

教会の祈祷・宮廷の儀礼・市民の娯楽

西洋音楽史の概略を限られた講義時間で一覧しようとすると、美術の場合と違ってルネサンスは独立した時代ではなく、中世の「オマケ」(和声に3度が加わっただけ)、ロココ・古典派はバロックから宮廷の趣味が変化しただけの「宮廷音楽後期」程度の扱いで十分…

日本は「ゾウガメの島」であると主張する人々

日本は「辺境」であり、その文化風土は「ガラパゴス的」である、という内田樹と梅田望夫の抱き合わせみたいな言説は、学問的、書誌学・文献学的に検証されて使用可能な状態になっているのだろうか。日本特殊論の一種で、素性の怪しいバズワードだと思うんだ…

分析・編集・反復

20世紀の「シリアス」(ほぼ「アート/アーティフィシャル」と同義)と形容される音楽から、それを「シリアス」であるという設定でプレゼンテーションするコンテクスチュアルな技術を取り去ると、音を音楽として構成する「それ自体で閉じた」技法は、音・音…